コーチングがカギになる
患者指導をする際は、上手くコーチングできるかどうかがカギになります。
コーチングとは
コーチングとは、相手の持っている強みや能力を引き出して、目標達成や問題解決のために行動してもらうためのコミュニケーションスキルです。患者自身が考え、決定できるように促していきましょう。その際に重要なのが、傾聴です。相手の話をただ聞くのではなく、気持ちを理解して共感する姿勢を持ちましょう。時間がないからといって、患者の話を遮ってはいけません。そのため、事前に「○○さんと××についての話をする」ということを、他のスタッフにも周知して協力を得られるようにしておきましょう。その上で、相手が話しやすい雰囲気作りに取り組みます。また、相手の目を見ながら話に合わせて相槌や頷くといったアクションを入れます。会話が苦手な患者もいますが、焦らずに相手の言葉を待ちましょう。
質問の仕方が重要
コーチングでは、こちらから質問をしながら会話を進めることがカギになります。知りたい情報を確実に得たい時に使うのが、クローズドクエスチョンです。「Yes」「No」などの選択肢を用意して質問に答えてもらいます。ただし、話す内容を自由に話せない質問形式なので、クローズドクエスチョンばかりだと信頼関係を構築することはできません。そこで、もう1つの質問形式であるオープンクエスチョンを上手く使いましょう。「どういった時にストレスを感じますか」など、患者が自由に答えられるものです。これによって、患者は意識を自身の内側に向けて考えられるようになります。
また、「健康になったら何をしたいですか」などの未来を見据えた質問もしましょう。患者が未来のことを想像して、決断するためのきっかけになります。「糖尿病の診断を受けた際はどのような気持ちでしたか」といった、過去についての質問も必要です。問題の原因を知るために、否定的な質問をすることもあります。受診をためらった理由などを聞くためのものです。ただし、こういった質問をする際は、問い詰めるように聞いてはいけません。
そして、患者が決めた目標を達成するために、具体的にどういった行動をするのかを質問します。「日頃から運動するためにはどういった工夫ができますか」といった質問です。「○○をしてください」と提案するのではなく、あくまで患者が主体的に行動することを後押しします。
以上が、コーチングをする際のポイントです。経験が浅いと質問がすぐには思い浮かばないかもしれません。その場合は、患者指導をする前に情報を集めておき、あらかじめ質問を決めておくといった工夫も必要です。
