患者指導時の注意点
患者指導の際に上手くコミュニケーションを取れないと、健康状態の改善に向けた取り組みを進めることはできません。
相手を馬鹿にしない
患者指導の際の注意点としてまず挙げられるのが、相手を馬鹿にしないことです。自分は専門的な知識を持っている職業に就いているということを忘れてはいけません。「こんなことも分からないのか」といった感情を持つのはNGです。謙虚な姿勢を持って、こちらの指導が適切かどうかを常に考えて取り組んでください。
専門的な医療用語ばかりを使わない
医療用語は難しいものばかりです。患者にとっては理解しづらい部分が多いでしょう。スタッフとの会話では問題ありませんが、患者指導の際に専門的な医療用語ばかりを使うのは避けてください。相手の理解が遅れ、結果的に健康状態の回復・維持につながらなくなる可能性が高くなります。そもそも、何を話しているのか分からない人のことは信じられません。
誰にでも分かりやすいようにかみ砕いて説明するように心がけましょう。具体的にはまず、「この言葉が通じるかどうか」を考えます。一般的には通じないのであれば、誰が聞いても理解できるような言葉を選びます。例えば、「褥瘡」という単語は一般人には馴染みがありません。「褥瘡」ではなく「床ずれ」と表現すれば伝わりやすいでしょう。また、説明した後に理解できているかどうかを確認することも大切です。
子ども扱いしない
専門的な医療用語ばかりを使うのは避けるべきですが、だからといって過度に子ども扱いしたような表現は不要です。あくまで、分かりやすく伝えることが大切なのであって、幼稚な言葉を使うという意味ではありません。特に、訪問看護などでは自分よりも年上の利用者に対して患者指導を行う機会が多くなります。人生の先輩に対して子ども扱いしたような表現を使うと、当然ながら相手は不快感を覚えます。利用者だけでなく、家族が不快感を覚えてクレームに発展するケースも少なくありません。そうならないように、相手への敬意を忘れずに対応しましょう。
自分の意見を押し付けない
患者指導の内容を、全ての患者が素直に受け入れられるわけでありません。例えば、血糖コントロールができず入院となった患者に対して患者指導を行うとします。しかし、その患者は営業職ということもあり、飲み会の機会を減らすことは難しく、血糖コントロールができるか不安とのことです。その時に、「そのままだと死んでしまいますが本当にいいのですか」と返しても、相手は嫌な気持ちになるだけです。結局これは、こちらの意見を通しただけであり、患者に寄り添う看護とはいえません。相手の事情や感情などを汲み取った上で、最適な提案をすることこそが患者指導には求められます。
