「訪問看護」の場合
看護師が行う患者指導について、訪問看護のケースに焦点を当てて詳しい内容を紹介します。
病院看護との違い
まずは、訪問看護と病院看護の違いを理解しましょう。大きな違いは、「暮らし」と「治療」のどちらを優先するかです。訪問看護の場合、自宅で生活する利用者の暮らしが優先されます。病院看護の目的は病気の治療や管理ですが、訪問看護ではその人らしい暮らしや家族の意思を尊重しなければなりません。また、病院看護の場合は患者が看護師のいる場所に来ることになります。一方、訪問看護は看護師が利用者の自宅に行きます。そのため、病院以上に利用者を中心とした看護が求められることになるでしょう。
相手を尊重する姿勢が求められる
訪問看護における患者指導は、療養指導とも呼ばれます。利用者の健康を維持するための重要な役割を担います。療養手帳に記載されている情報などを基に、日常生活における改善点を見出していきましょう。医療を一方的に押し付けず、利用者自身が積極的に取り組めるようにしなければなりません。相手の思いや考えを尊重しながらコミュニケーションを取り、健康状態の回復に向けて行動できるように促していきましょう。利用者の状態やニーズを理解し、主体的に取り組むことで効果が高まります。
また、訪問看護は個別の状態に応じて行うため、工夫が求められます。利用者が自ら生活習慣を見直して、健康増進に取り組めるようにしましょう。訪問看護における患者指導では、医療に関する知識だけでなくコミュニケーションやサポートの方法などが重視されます。利用者との信頼関係を構築し、より充実した生活を送れるように支援していきましょう。また、適切な患者指導を行うことで、結果的に地域の健康と福祉に対する貢献にもつながります。
寄り添う看護の重要性
医療分野全体にいえることですが、特に訪問看護の現場では寄り添う看護が求められるようになってきました。これは、個別性重視の看護に移行していることが理由の1つです。少し前までは、格差のない医療や看護が重視されていました。均一な医療や看護の提供が、日本には必要だと考えられていたのです。しかし、医療が進歩し、国が発展してきたことに伴い、均一な医療や看護の提供に対して不満の声が挙がるようになりました。多様化が進み、今では患者1人ひとりに合った個別性重視の看護が求められています。
ただし、いつも患者の近くにいて看護をすることが、寄り添う看護なわけではありません。あくまで重要なのは、患者の状態に合った適切な提案やアプローチです。ただ近くにいるだけでは、患者にとって本当に必要な看護は実施できません。
